カナダ多文化主義の背景
カナダの歴史をさかのぼると、12,000年以上も前からカナダの土地に住んでいたファーストネイション、メティ、イヌイットという先住民族(Indigenous people)の人々、その土地にビーバーの毛皮を求め渡って来たイギリス系とフランス系の入植者たち、そして19世紀後半以降計画的な移民政策により世界各国から渡ってきた移民たちといった多種多様な人々の存在が浮かびあがります。その様な背景で、現在の首相のジャスティン・トルドー(Justin Trudeau)首相の父にあたるピエール・トルドー(Pierre Trudeau)首相による二カ国語併用(Bilingualism)により現在のように英語とフランス語の2カ国語が公用語として用いられ、多文化主義(Multiculturalism)によって統一性や画一性を求めるのではなく、思いやりや理解など一人一人の人間の価値観を重視する方針が推進されました。1982年にはカナダの権利と自由憲章(the Charter of Rights and Freedoms)の一部で多文化主義の精神を尊重した内容が確認されています。また1988年には世界で初めてカナダ多文化主義法(Canadian Multiculturalism Act)も制度化され、現在のカナダの多文化な社会形成にも貢献しています。
こうした多文化主義への動きから、2002年に毎年6月27日を「多文化主義の日(Canadian Multicultural Day)」とすることが決まり、多文化である社会をカナダは毎年祝福しています。
トルドー首相も祝福しています!
カナダの現在の首相であるトルドー首相もこの多文化主義の日に声明文を出しています。以下はそのウェブサイトになります。
https://pm.gc.ca/en/news/statements/2020/06/27/statement-prime-minister-canadian-multiculturalism-day
簡単にポイントだけ日本語にしますと以下のような内容となります。
カナダ多文化主義の日は、異なる背景を持つカナダ人が、より強く、より多様で包摂的な社会を構築し、形成するために行ってきた重要な貢献を認識する機会です。多文化主義はカナダの最大の強みの一つであり、私たちの国を構成する重要な要素です。民族性、宗教、文化、言語に関係なく、すべてのカナダ人は、自分自身に忠実であり、友人、隣人、同僚として平和的に暮らす権利を持っています。祝うべきことはたくさんありますが、この国をより公平で誰にとっても平等なものにするためには、まだまだやるべきことがたくさんあるということも認識しています。先住民、黒人カナダ人、アジア系カナダ人を含む、あまりにも多くのカナダ人が、毎日のように人種差別に直面しています。新型コロナウィルスのパンデミックに直面して、私たちはカナダ人が、あらゆる背景や人生の歩みから、隣人を助け、お互いを支え合うのを見てきました。しかし、私たちが団結した時期であっても、ここ数週間で、特に差別や制度的な人種差別の問題に関しては、国としてやるべきことがもっとあるということが浮き彫りになりました。カナダ全土、そして世界中の人々が声を上げ、私たちの国や制度に存在する制度的な人種差別に対処するよう求めています。カナダ政府は人種差別されたカナダ人や先住民と協力して、この差別を終わらせるために取り組む必要があります。人種差別は存在します。それを止める必要があります。人種差別や差別は、私たちの社会では一切認めません。
この機会に隣人と話をしたり、自分とは違う人生経験をした人の話を聞いたり、学んだりする時間を取ってみましょう。私たちを強くする「違いについての理解」を深め、理解を深めることで、より包摂的な社会を築くことができます。」
多文化主義の日のイベント
https://www.canada.ca/en/canadian-heritage/campaigns/multiculturalism-day/list-events.html